21世紀に強い組織って、、、
とにかく変化が速い。21世紀に生きるということは、その変化の中で生きると言うことに他ならない。指数関数的に成長のスピードが速くなっているという。10年前から今日までかかって成し遂げた進歩の「幅」と、今日から10年後までに進歩する幅は大きく違うというのだ。
そのような目まぐるしいまでの進歩の中で、私たちは進歩に翻弄されているようにさえ感じる。本来は、人間の利便性や効率性のための進歩であったはずなのに何故か翻弄されている。
では、そのような人間が本来持つ体感覚で捕捉不可能なくらいに速い進歩に惑わされずに、また翻弄されることなくヒラリヒラリとしなやかに生き続けるための方策とは何だろうか?
それは、こちらも進歩することだ。私たちの地球が時速に換算すると1,600km/h で動いているにも関わらず(赤道上での時速)、その上に立っている私達からすると、静止しているように感じているのと同じように。
月の上にいる人から見ると、私たちは地球の上に乗っかり、地球と同じスピードで動いている。つまり、私たちは1,600km/h のスピードで宇宙空間を走っているのだが、そんなスピードは感じない。地球と同じスピードで等速運動しているからだ。「慣性の法則」というやつだ。つまり、21世紀のその目まぐるしい進歩のスピードと同じスピードで私たちも変化すれば、速さに目を回すこともなく、速さを感じることもなくなるのだ。
しかしながら、別に難しいことはない。常にイノベーションを考え続けるとなると気が遠くなるような、絶望的な気持ちになるかもしれない。しかし、そんなことはない。
簡単な法則を、組織の中に組み込めば良い。
その法則とは、、、。
それこそが、ダイバーシティ&エンパワーメントだ。
能力は内側にある
本来、私たちの中には、生まれて死ぬまでに必要な能力がビルトインされている。赤ん坊の時には、それが能力としてまだ表現されていなくておも、少なくとも「能力のタネ」としてビルトインされている。
そして、その能力は、すべての人に特有、独特のものがビルトインされている。それが生物多様性と言うものだ。種を保存するために、多様性と言うものは存在する。皆が同じ能力では、外敵から身を守れない。
一つの強烈な外敵に皆殺しにされてしまう。
だから、一つ一つの個体が違う遺伝子配列になるように、heterogeneous な生殖形態を獲得したのだ。
これからは、多様な組織が間違いなく生き残る。
というよりも、本来はすべての個人が多様なので、多様性を発揮するのは何も困難なことではないのだが、それを発揮させないようにする、社会の「重力」が私たち日本社会には存在し、人々の頭の上から重くのしかかっている。だから、しなやかに動けないのだ。
逆に言えば、その重力さえ取り除けば、多様性は自ずと発揮される。それが、本来の生き物の姿であるし、むしろ日本人は古来からアミニズムの精神性を持ち、森羅万象に感謝し、多様である事の重要性を一神教の西洋社会よりも受け入れてきた歴史すらあるのだから。
図で示したように、本来、パワーは内に存在する。全員にそれぞれ一つずつ、違うパワーが。。。
だから、すべてが違う色の個体になる。感じ方も考え方も違って当たり前なのである。
その上で、一つの目標に向かって邁進することができれば、、、、
これが、21世紀に強い組織だ。
さらに言えば、その中でイノベーション、ブレークスルーを継続的に生み出す組織の特徴は何か?
一言で言うならば「組織内の矛盾すら受け入れる度量」である。「利益相反、二律背反する概念の同居」とも言えるだろう。
たとえば、ある会社においてこんなことは、しょっちゅう起こりうることである。
経理部としては、決算に向けて少しでもキャッシュを温存しておきたいい。
それは決算報告において、良い経営数値を弾きだす為だ。投資家に向けたアピールをする為だ。「株価を上昇させることは企業価値の向上につながる」と判断するのは、当然のことである。
しかしながら、研究開発部としては、この時期にあと少しの研究開発費を投入して新技術の開発を急ぎたい。それは、長い目で見たときに、会社の将来を担う競争優位性を獲得するための投資だと確信しているからである。
当然のことながら、研究開発部と経理部とでは、意見が割れる。「会社の利益を上げる」という目的においては同じなのにも関わらず。。。
しかしながら、このような時にこそ、イノベーション、ブレークスルーが生まれるのも事実である。このような瞬間を、どうハンドリングするかというのが、実は21世紀に強い組織になるか否かの分かれ道だと言って良いだろう。
ここまで書いてみて、ラグビーのことを思い浮かべた。
ラグビーというスポーツは、ある意味とても単純なスポーツだ。ボールを前に投げることなく、味方がパスをつないで、陣地を前方へと獲得し続け、相手のゴールラインまで運べば良いスポーツだ。
さらには、体格の差が激しい個性あるメンバーが15人で一つのチームとなる。さらには、ボールが楕円形であるために、次のバウンドが予測しづらい。何が起こるか、その時にならないと分からない。予測困難という点で21世紀と似ている。そして、とてつもない方向に跳ねたボールは、選手たちに「アドリブ」を要求する。また、選手が持つ特性が違うのだから、「敵ゴールラインを目指す」という最終目的は同じなのに、その「やり方」には主張の違いが現れることすらある。
「この場面は、強力な巨漢フォワードで、ゴリゴリと前進することで相手ゴールを目指すことが良い」と考える選手も存在するはずだ。
「いやいや、この場面は、俊足バックスに展開しスピードで勝負するべきだ」と考える選手もいるはずだ。
それらの中からこそ、最高のブレークスルーは誕生する。
ダイバーシティ&エンパワーメント が必ずや、組織を変化させる。